金融経済研究所

金融経済研究所

レポート

Report No.014

IOCロゲ会長が手にした小切手とは?

2013/09/13

ある朝、目が醒めたら日本という国がどれほど豊かになっていたかを思い知ったのは9月8日の朝だった。正確に言えば、9月7日の午後、ブエノスアイレスで国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長が2020年夏季五輪・パラリンピックの開催都市を「トウキョウ」と読み上げた瞬間を実況中継で見た時だった。
 
 2020年東京五輪・パラリンピックを開催するための予算は僅か44億㌦(約4,400億円)ですむし、全額がすでに現金で蓄えらている。少ないおカネで済むのは、1964年夏季五輪のときに造ったレガシー(遺産)が使えるからだ。その代表的建造物が、当時のメーン会場で戦後復興のシンボルとなった「オリンピック・スタジアム」(国立霞ケ丘競技場)である。新設されるのは、東京ベイゾーンの22の競技会場と関連施設。その一つが954億円かけて建設される選手村で、44ヘクタールの広さに1万7000人の選手を収容することができる。選手村は五輪終了後住宅地に転用されることになっている。37競技会場のうち前述した新設する22会場の建設に2737億円が使われ、五輪後はスポーツやイベントに使われるという。
 
 2020年東京五輪・パラリンピックの運用費用の34億㌦(約3400億円)は、全て入場料、販売商品、スポンサー収入等で賄えるという。
 
 気になるのは、これから7年の間に起きかねないインフレ。去年開催された2012年ロンドン大会では予定の3倍の費用がかかってしまったし、2004年のギリシャ五輪では既に悪化していた国家財政を更に深刻化させてしまった。
 
 2020年東京五輪の場合はどうだろうか。予算が超過したとしても、それは誤差の範囲内程度だとロイター通信が伝えている。この国の政府は今年の予算が9300億ドル(約93兆円)もあるのだからと。外国通信会社からこんなに煽て上げらえるとむず痒い。
 
 東京が開催地に決まった翌日から東京株式市場へ外国からの買い注文が急増し、いきなり株価は押し上げられた。ロイターもBUMPという表現で東京市場の突発的活況を伝えていた。
 
 インフラらしいインフラがなかった1964年の東京オリンピックの時代と、2020年までにあと7年もあるのに、既に豊かなインフラを持つ(競技場、ホテル、鉄道網、空港等)日本・東京は、今回落選してしまったマドリードとイスタンブールと比較したら、驚くほど恵まれていることを世界は知ったようだ。
 
 東京夏季大会が日本経済に与える影響は予測では3兆円($30bilion)、15万人の新規雇用が期待されるという。GDPのわずか0.5%にしか相当しない。東京で世界最大のスポーツ競技会を開催することは、今の日本には金融面でもインフラ面でも余裕満々で受け入れらるということなのだ。しかし、奥座敷の金庫には1100兆円の借金証書がしまってあることを、世界は忘れてしまったわけではない。

 2020年東京五輪・パラリンピックを開催するための予算額は1100兆円という世界最大の借金のわずか0.04%にしか過ぎないを知って、IOC委員会の方々は、ほかの都市と比べて、東京は安心・安全と思ったのかもしれない。ロゲ会長が、世界が注目する中、封筒を開けて手にした紙はそれを保証する小切手ではなかったのでは。

ページトップへ

 

商号等:エアーズシー証券株式会社 金融商品取引業 関東財務局長(金商)第33号 加入協会:日本証券業協会

Copyright(C) Air’s Sea Securities co.,Ltd 2013 All Rights Reserved.