金融経済研究所

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レポート

Report No.013

中国の金融問題

2013/09/02

欧米ではシャドウバンクと騒がれている中国の金融問題。日本語に直訳すれば「影の銀行」となるわけだが、これだけだとさっぱり分からない。

もっともシャドウバンクという言葉も、説明がないと何のことか分る表現ではない。この英語は、世界最大手の投資運用会社PIMCOのマネジング・ダイレクターであったポール・マカリー氏の造語で、銀行以外の金融機関が行う金融取引を指すわけだが、こうした取引は中国だけがやっているわけではない。世界を騒がせたサブプライム関連商品の組成、流通の仕組みもこの範疇に入るのだから。

シャドウだとか影だと、少なくとも日本人には何か法の外側のことかのように思いがちだ。中国語では「影子銀行」(ying zi yin hang イン ズ イン ハン)と呼ぶ。これを中国で金 融問題として取り上げた最初の人は、当時中国大手国有銀行「中国銀行」の董事長(会長)で中国英字新聞チャイナ・デイリーに投稿して以来、世界から注目をあびるようにいなった。

日本人は最近造語能力が弱くなってきたせいか、日本人の発明開発したカタカナがあるせいか、欧米人の造語をカタカナに直すことが多くなってきた。音だけをとるだけでなく、意味を示そうとするなら日本語での造語でいくべきだろう。漢字を使える日本人は、中国後の影子銀行ではなく、隠し子銀行(金融)とでも命名すれば、分かりやすいかもしれない。父親に認知してもらえば正嫡子になれのだが、認知されなければ、諸般の事情で世間にその存在を隠している隠し子となるように、金融当局が把握していない融資、貸付をするシステムを影子銀行と呼んでいる。

一説には中国のGDPの70%に相当する約36兆元(約594兆円)の非公式貸付があるというから、日本のGDPすら上回る巨大なブッラク・ホールみたいな存在なのである。中央の銀行が地方の銀行へ貸した資金や企業の余裕資金、個人富裕層の資金などが「理財商品」と呼ばれる投資ファンドを投資会社が組成したファンドに組み込まれ、そうやって調達した資金は地方政府のインフラ建設、不動産建設などに地方会社が設立した「融資平台(へいだい)」が借りるという流れになっている。

中国では原則地方政府自らが資金を調達することは許されていない一方で、中央政府は特にリーマンショック後の景気の落ち込みを回避するために地方政府へ経済活動の促進を強力に指導したから、欧米でシャドウバンキングと呼ばれる金融システムが出来上ったというわけである。

資金の貸付、返済が順調にいけば何も問題は怒らないのだが、市場経済が機能しない国家であるから、需要と供給のバランスが顕在しづらいために、借りた資金が利益を生み出すことができぬまま焦げついてしまったら、資金の回収ができなくなる。それも監督官庁が明確にウォッチできれば、資金の供給を増減したり、金利を操作したり、治癒法はあるのだが、“影”に隠れてしまっていたら、金額が巨大だけに、リーマンショックどころではない大災禍が起きるのではないかと世界は戦々恐々としているわけである。

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